「言語化」時代におけるコピーライティングについて考察し、実務に活かせるヒントをお届けする連載「コピー学習帳」。第1回目となる前回記事では「言語化」時代におけるコピーライティングについてお届けしました。

導入編・第2回のテーマは「広告の目的=態度変容について」です。
毎回、宿題(のようなもの)を出していく予定ですので、ぜひチャレンジしてみてください。

広告の目的というと「買ってもらうこと」と考えがちですが、間違いではないものの本来の目的を正確に言い切っているとはいえません。

広告の本来の目的とは、生活者に自社商品を「買い続けてもらうこと」。これを態度変容といいます。

セールや特典で一度きりの購買を促してもその場限りで、継続的な購買にはつながりません。生活者の「お買い物ポリシー」を書き換えることで、再現性の高い購買行動を生むことが広告コミュニケーションの本当の目的です。

広告の目的=態度変容を起こすためのアプローチ

態度変容を生むには生活者の中での商品の「意味づけ」を変える必要があります。

ファミリーカーや朝食のパンのTVCM等でよく家族の幸せな日常の1シーンを切り取り、その中心に商品が置かれている様子を描写する表現がありますが、あれは「スライスオブライフ」という表現手法。自然と溶け込むように、商品が幸せな家族の仲間入りをするための常套手段です。

ホラーアプローチやコミカル表現など表現手法は数あれど、基本的に広告の世界は買った人の人生がどのようによくなるのかが描かれる世界。自分のこれからの素敵な(であろう)人生という物語において、勇者の剣やヒロインの魔法のペンダントのようにその商品が必須アイテムであるという認識を持ってもらうこと。

その認識を生むためには、単にお得感を訴求するだけでは全く不十分。もう少し深く、時として哲学的な思索によって

  買ってほしい人(ターゲット)はどんな人生を送りたいと思っているか
  その人生を実現する上での障害は何か
  その障害をクリアするために、商品がどう役に立てるか

これらを一つひとつ「定義」していくことが、最終的な表現を考える上での基本作業になります。ここで土台を固めることで、表現にもジャンプ力が生まれます。

コピーを考える時にも、一番必要な姿勢はこの「深く、時に哲学的に思考し続ける」ということです。これを抜かしてテクニカルな言葉の掛け合わせを何百と出したところで、それっぽい言葉は出てきても「正解」には決して辿り着きません。

広告の態度変容とは、生活者の人生をほんの少しだけ変えるもの

生活者が毎日機嫌よく生きていくためには、その商品を持っておく必要がある。その認識を持った時に生活者はその商品を買い続けてくれるのです。その継続的な購買行動は、多少なりとも生活習慣を変えます。

この意味からいえば、広告による態度変容とは生活の中に気づきを与えることで生活者の人生をほんの少しだけ変えることである、ともいえます。

宿題のようなもの ーCopy Drillsー

この連載では毎回、宿題(のようなもの)を出していく予定ですので、ぜひチャレンジしてみてください。では、今週のお題です。

今週のお題

直近であなたが経験した「態度変容」について、なぜ態度変容したのかを言語化してみましょう。

解答例は次回に!

解答例は、次回の連載(12/9(金)予定)でお伝えします。今回はコピーのお題ではありませんので、私自身の直近の態度変容について言語化をしてみます(一緒に宿題やります)。

前回のお題の解答例

前回のお題だった「求人広告の原稿」の解答例はこちらです。

DRILLS1.png

解答例は「これが答えだ!」という意味ではなく、あくまで参考までにお出ししています。私が実際にクライアントワークで書き、世に出た言葉を使用しますが、意図としては適当な例題を出して「それっぽい解答」を示すというのはそれこそコピーの本質から外れると考えるからです。

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後書きのようなもの

私は常日頃から「態度変容などという概念は広告の教科書の1ページ目に書いてある。これを知らない広告担当者に相談してはならない」と語ってきたが、今回連載を始めるにあたり本棚の「広告(コピー)の入門書」をパラパラとめくってみると……ない。(少なくとも目次には見当たらない)

改めて何冊か昔読んだ入門書を見てみると、だいたいがまず「平賀源内が広告コピーを最初に書いた……」話から始まり、広告の種類について、コピーの種類、TVCFのコピーの書き方、新聞のコピーの書き方……と随分遠回りな印象を受ける。

細かい書き分けやコピーの種類などは実際書く時の目的を踏まえれば自然とできるはずなので、一つひとつ理解する必要はないと思うが、広告を考える上で最低限必要なフレームワークや用語、心構えだけは「導入編」という形でご紹介したい。

今回は、その最初の項目=つまり一番の基本である「広告のそもそもの目的=態度変容」についてのお話でした。

旅をするにも、そもそもの「目的地」の場所を見失っていればいくら毎日コツコツ歩みを進めてもどこにも辿りつけない。同じように、これからコピーを学ぼうという人も「広告の目的」をはき違えていれば、闇雲に書き散らかすばかりで何がよくて何がよくないのかがココロの中に歩留まっていかない。

ということで他はともかく「態度変容」という考え方は、しっかり腑に落としていただいた上で次回以降の連載にお付き合いいたければと思います。

次回のテーマは「広告のスタンスについて」。

では、また次回の連載(12/9(金)予定)でお会いしましょう。

次回の記事はこちら

「誰も読んでくれない」という前提から発想する。広告コピーの基本スタンス

「誰も読んでくれない」という前提から発想する。広告コピーの基本スタンス

導入編・第三回のテーマは「広告コピーの基本スタンス」です。総務省の情報流通センサス調査によると、情報化社会において99.9%の情報はもはや処理不能。そんな環境下では、どのようなスタンスが必要になるのでしょうか。

連載

第1回 「言語化」時代のコピーライティングとは
第2回 広告の目的は「買ってもらうこと」ではない。生活者のお買い物ポリシーを書き換える広告コピーのアプローチ
第3回 「誰も読んでくれない」という前提から発想する。広告コピーの基本スタンス
第4回 広告コピーの「秘伝の修行法」とは
第5回 どう言うか?の前に「何を言うか?」を決める
第6回 生活者とブランドの接点=ベネフィット(便益)の約束
第7回 広告のメッセージ精度を上げる「言葉のフォーメーション」
第8回 広告の「基点」愛され続けるタグラインの書き方
第9回 1/1000の狭きココロの門に入るキャッチコピーの書き方
第10回 ブランドの「認識」を醸成するボディコピーの書き方
第11回 【特別編】ChatGPTのコピーを添削する
第12回 広告コピーのトレンド変化
第13回 ブランドが紡ぐ小さな物語
第14回 アイデアの作り方 ~インプット編~
第15回 アイデアの作り方 ~アウトプット編~
第16回 顧客理解のためのヒアリング
第17回 広告企画のプレゼンテーション
第18回 X世代の心象風景:80年-95年の広告とカルチャー
第19回 ミレニアル世代(Y世代)の心象風景:95年-09年の広告とカルチャー