デジタルマーケティングにおいて「UX(ユーザー体験)」を高めることは極めて重要です。

最近ではUX/UIといった言葉が当たり前に使われるようになりました。しかし、なぜUXは重要とされるのでしょうか。また、UXはどうすれば高めることができるのでしょうか。

今回は、UXの定義をもとに、UXを高めていくための考え方となる基礎知識を解説します。

UX(ユーザー体験)とは?

まず前提として、「UXとは何か?」「なぜUXが重要なのか?」を理解していなければなりません。

UXという言葉が登場する以前は、「ユーザビリティ」という言葉がよく用いられていました。一般には「使いやすさ」と訳されることが殆どです。
しかし、ISOに定められたユーザビリティの定義は以下のように詳細かつ明確です。

”Extent to which a product can be used by specified users to achieve specified goals with effectiveness, efficiency and satisfaction in a specified context of use”
特定の製品が「特定の利用者」によって「特定の状況下」で「特定の目的」を達成するために用いられる際の、「有効性」「効率性」「満足度」の度合い。

引用:
ISO公式ウェブサイト

ユーザビリティの良し悪しは「誰が、どういう状況で、何のために利用するのか」を考えなくては測れない、と定義されているのが特筆すべき点です。

UX(ユーザー体験)とは

上記の図4番においてUXという考え方が必要になる

続いて、UXの定義をe-WordsのIT用語辞典から引用します。

UXとは、ある製品やサービスを利用したり、消費した時に得られる体験の総体。
個別の機能や使いやすさのみならず、ユーザが真にやりたいことを楽しく、心地よく実現できるかどうかを重視した概念。

引用:
IT用語辞典 e-Words

「体験」「楽しく、心地よく」というキーワードが加わりました。
ユーザビリティが製品やサービスを「客観評価」する意味合いが強いのに対し、UXは「主観評価」です。あくまでユーザが主語であり、極めて「主観的で感覚的」なものとして強調しています。

そもそもWebサイトにおいてユーザビリティUXが重要である理由は、Webサイトアプリケーションがセルフサービスチャネルだからです。

セルフサービスチャネルとは、ユーザが何らかの目的で自ら訪れて、サービスを利用し、自ら好き嫌いを判断するものです。

実店舗の接客と異なるユーザー体験を作る必要性

UXをイメージするにあたって参考になるテストがあります。

以下の動画を1回だけ見て、「赤い丸」の位置を覚えてください。

第1回アニメーション.gif

上記の動画から赤い丸がどこにあったか分かりましたか?

ほとんどの人がすぐに見つけられたのではないかと思います。

では、「青い四角」がどこにあったか覚えていますか?

実は、赤い丸の隣にありました。答えられなかった方が殆どではないでしょうか。

上記のテストから、ユーザーは目的に向かって進むとき、思っているよりもずっとせっかちで視野が狭い状態であることがわかります。

実店舗などで対面接客であれば口頭で補足したり、ユーザが当初想定していなかった商品を売り込むこともできます。

しかしセルフサービスチャネルであるWebサイトにおいては、どんなユーザがどんな状況で何を求めて訪れるのかを予め把握し、彼らが満足できるように設計しておかねばなりません。

もっと言えば、どんな状況のユーザをどんな文脈でWebサイトに呼び込み、どんなシナリオを紡いでビジネスゴールまで導くのかを描かねばなりません。それこそがUXの設計であると思います。

まとめ:デジタルでの顧客接点の作り方を学ぶ

第1回の最後に、面白い写真をご紹介します。

デジタルでの顧客接点の作り方_2005

デジタルでの顧客接点の作り方_2013

ローマ法王を見に集まった人たちの様子です。同じ場所、同じシーンの写真ですが、2005年と2013年の間に時代が変わったことが分かります。

スマートフォンが急速に生活に浸透したことで、今では誰もが1日中デジタルに接続しているような状態です。

企業のマーケティング活動において、デジタルでの顧客接点の磨き込みが重要になることは明らかです。企業の未来は、デジタルマーケティングを担う皆様の活躍にかかっています。