今回はコミュニケーションシナリオを作成するためのポイントについてまとめていきます。
良いシナリオを実現するための「良いコンテンツ」が重要です。

「良いコンテンツ」は、ユーザが置かれている状況、サイトを訪問する際の状況を捉えることで導かれます。

状況を捉えてコンテンツを考える

状況を捉えてコンテンツを考える

コンテンツ作成について、あるカラーコンタクトレンズECサイトの担当者が行った改善の事例をみてみましょう。

ECサイトにはよくある傾向ですが、売上の8割を一部のリピーターが占めている状態でした。データベースを分析してみると、ブラウンなど比較的無難な色のカラーコンタクトを、定期的に、しかも毎回同じものを繰り返し買うことがわかりました。

ユーザが置かれている状況は、「いつものコンタクトレンズの在庫がなくなった」と予想でき、いかに安く楽に再購入できるかが売り上げを向上させるポイントとなりそうです。

実際に、このECサイトの担当者もそう考え、累積購入額が大きいほど会員ランクが高くなり、送料などが安くなる仕組みを導入しました。しかし思ったほど売上には効果が得られず、送料を引いた分だけ利益が圧迫される状態になってしまいました。

リピーターの実態を調査

担当者は売り上げが上がらない理由を探るために、リピーターの実態を調査しました。

その結果、

  • 繰り返し同じ商品を買うユーザーも、購入と購入の間にレッドやブルーといった少し冒険した色のカラーコンタクトのページを何度も閲覧していること
  • 初回購入の前後に住所変更をしているユーザが多く、そのほとんどが地方から都市部への引っ越しであること

がわかりました。ここから担当者はユーザーの状況について、「大学デビューをきっかけに、以前から気になっていたカラーコンタクトにチャレンジしてみた。本当はレッドやブルーにもチャレンジしてみたいけど、今ひとつ勇気がなくて無難な選択肢に落ち着いている......」と想定しました。

これらから、必要なのはチャレンジを後押しするコンテンツ、すなわち優良な口コミ・写真であると考えたのです。

口コミの投稿にポイントを付与するとともに、投稿規約に「カラーコンタクトを装着した自分の目が写った写真を含めること」というルールを加えて運用を開始しました。

その効果は大きく、数年続けてダウントレンドだった売上が反転しました。

文脈に寄り添った導線を考える

良いコンテンツ(訴求)が揃ったら、次はいつどこでそれを伝えていくかを考えます。
その際の重要なポイントは、ユーザの文脈に寄り添うこと。逆に言えば存在しない文脈を創り出そうとしないことです。

  • いま現在ユーザはどのように行動しているのか
  • その行動はどういう文脈で行われているのか

これを把握し、寄り添うことが重要です。

先ほど事例に挙げたカラーコンタクトレンズのECサイトで、「カラーコンタクトを装着した自分の目が写った写真を含めること」という追加のルールはどのようにしてユーザに届けられたのでしょうか?

対応として考えられるのは、トップページバナーに大きく「口コミが新しくなりました」と出すことです。せっかく新しく作ったのですから、一番目立つ位置で大きく宣伝したいと思うのも当然です。

しかし、こうした対応は「ユーザーの文脈を捻じ曲げようとしている」と自覚する必要があります。ユーザーの文脈に合わない導線へは誘導できないでしょう。

レッドやブルーのコンタクトレンズの商品ページが見たい、と思ってトップページを訪れたユーザーバナー画像など見向きもせず1秒以内に商品カテゴリページに進んでしまいます。

実際にカラーコンタクトECでは、口コミ情報を刷新したものの導線はほとんど変更していません。多くのユーザーが商品ページを見たあとに口コミページを見に来ることがわかっていたからです。

訴求したい内容は、トップページやLPに大きく配置するよりも、ユーザが自然に向かう場所で文脈に合わせて訴求する・誘導することを考えましょう。

よくある例としては下記のようなものが挙げられます。

  • 料金ページが見られるのであれば、料金ページに「他社との違い」情報を配置
  • FAQページが見られるのであれば、FAQページにQ&A形式で訴求を配置
  • すぐ商品ページに行ってしまうのであれば、商品ページで「新商品もあります」と伝える

期待形成と訴求内容を一致させる

誘導時の期待される内容の作り方と遷移するページの訴求内容を合致させることも重要です。

わかりやすいのはリスティング広告で、検索キーワードや表示文言からユーザが期待する内容と、ランディングページ(LP)の内容が合致しているかどうかで大きく成果が変わるというものです。

特定の検索行動におけるユーザの文脈を捉え、戦略的に成果を伸ばした事例があるので紹介します。

サイト運営担当者の例

鉄道や飛行機などの交通手段と宿泊先がセットになった格安旅行ツアーに強みのあるサイトAの運営担当者の話です。

ユーザーは旅行の行き先をおおよそ決めた段階で、ウェブで宿の場所や宿泊費の検索を始めます。この段階で多くのユーザーは大手旅行ポータルサイトに流れてしまいます。ここに対抗しようにも、サイトAには宿泊プランの価格帯に幅がないため勝ち目がありません。

しかし、運営担当者はユーザーが一通り宿泊先に目処をつけたあとに、「宿泊施設名をコピーしてGoogleやYahoo!で再度検索する行動」に注目しました。

「この宿にしたいけど旅行総額での最安値はどこかな」という文脈であれば、サイトAに勝機があります。移動手段として飛行機・新幹線・特急電車を選んでもらえれば、移動を含めた格安パックを提供しているため、価格面で戦えるからです。

サイト運営担当者の例

実際の打ち手としては、宿泊施設名を店名や会社名を入力して検索する方法での集客強化を徹底し、且つ「飛行機/電車で行くならこちらがお得」というユーザの文脈に合わせた広告出稿に振り切りました。結果的に予約数は2倍に跳ね上がりました。

このように、ユーザの行動に逆らわないだけでなく、行動全体を適切に捉えることで大きく成果を伸ばすことも可能です。

一方で、リスティング広告で「半額キャンペーン」と表示しておきながら、LPにはキャンペーンの説明が無い、といった事態を防ぐことも重要です。単純な話ですが、これが完璧な企業様にほとんど出会ったことがありません。今一度チェックしてみてください。

<宿題>
今回の講義の内容を踏まえて、以下の質問に答えてみましょう。

  • 自社製品・サービスの最大の訴求ポイントはどこですか?
  • その内容はユーザが置かれている状況に対して、十分に魅力的ですか?
  • いま現在、どのような広告クリエイティブ・文言で自社サイトに集客していますか?
  • 集客時の内容と、誘導後のページの内容はきちんと合致していますか?