近年では動画広告の市場が拡大されており、動画広告の作成や出稿が当たり前になってきました。動画は態度変容の効果的な手段ですが、視聴のハードルはテレビより高めです。また、スキップされやすいなど、Webならではの難しさもあります。

そこで今回は、動画広告を効果的に展開するにあたって、押さえておくべき動画視聴におけるハードルについてまとめました。視聴されづらいとされる理由も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

動画視聴のハードル

まずは、動画視聴のハードルについて見ていきましょう。

情報過多

データ流通量の推移.png
出典:令和2年情報通信白書

インターネットによって世の中の情報量は飛躍的に増え、人が処理できる情報量をとうに超える情報が日々私たちの周りを行き交っています。令和2年に総務省が発表したデータ流通量の推移をみてみると、年々増加しているのが分かるでしょう。

このような状況下では、そもそも伝えたい相手に広告を見つけてもらうことすら困難です。また、広告を見ても次の瞬間忘れているといったことも多く発生してしまいます。

実際に、隙間時間にスマホを開いて接触したバナーや動画の広告を覚えている人はほとんどいないでしょう。そのくらい、人間の脳が覚えきれないほどの情報が世の中に溢れ返っています。

主導権が、より視聴者側にある

テレビと比較すると、Webでは広告閲覧の主導権がより視聴者側にあります。そのことを示す、2つの大きな特徴を見ていきましょう。

1.視聴態度

動画の視聴態度

テレビの視聴はソファーや畳の上でリラックスしながら、くつろいだ姿勢で視聴する傾向がある「Lean Back(後ろにもたれる)」なメディアと言われています。つまりこれは、流れてくる情報を一方的に受動する姿勢で視聴しているということです。

一方、動画を視聴するデバイス(PCやスマホなど)は「Lean Forward(前のめり)」に利用するメディアと言われています。PCやスマートフォンの場合、ユーザーは画面を注視して、必要な情報と不要な情報を振り分けながら利用しています。テレビに比べると、能動的な姿勢で視聴していると言えるでしょう。

PCやスマートフォンのように、能動的に情報を取りに行く姿勢で見られているデバイスほど、不要な情報が出てきたときの不快度が大きくなります。そのため、瞬時にスキップするかどうか判断された上で、見られずにスルーされてしまうのです。

2.スキッパブルな広告フォーマット

スキッパブルな動画広告フォーマット

動画広告には、スキップ(スルー)可能な広告フォーマットが多くあります。例えば、Youtubeのインストリーム広告は「スキップボタン」が付いており、Facebookはスクロール広告を飛ばして無視することが可能です。

中にはスキップ不可の広告もありますが、視聴者から煙たがられる可能性も少なくありません。

このように動画広告は「必要ない」「興味を持たない」ものであれば、簡単にスキップされてしまいます。広告閲覧の主導権は、基本的に視聴者にあると言えるでしょう。

動画広告が届きづらいその他の理由

動画広告が届きづらい理由としては、以下のような理由も考えられます。

● メディアの増加
デジタルメディアが爆発的に増えると共に、どのメディアが誰に届くのか複雑な状況になっています。

● 仲間ごと化の急激増
SNSの普及によって、友人知人の情報がメディア以上の関心ごととして存在感を増しています。

● Facebookも友人を重要視する
より信頼性のある情報として、メディアよりも友人知人の投稿を重視したアルゴリズムへ変更すると発表しています。

広告の信頼性低下
生活者が友人や口コミ等の客観的な第3者情報を重視するようになっている一方で、広告への信頼性が低下しています。

参考:
Facebook、友人家族の投稿を増やし、ニュースや企業コンテンツを減らす方向性を発表 - THE BRIDGE
Nielsen: Consumer Trust In Traditional Media Ads Fall, While Confidence In Mobile, Social And Online Rise

動画視聴にはWebならではのハードルがある

Webには、「Webならではの動画視聴のハードル」があります。情報量の増加・広告フォーマット・視聴態度や心理などが動画視聴の判断に影響を及ぼします。動画広告を展開する際は、常にこのことを念頭において、施策を考え進行させてください。

Web上に動画広告を出稿するなら、スキップやスルーをされない工夫をする必要があります。冒頭に興味を引くものを持って行ったり、動画の長さを適切にしたりしてみましょう。ぜひ本記事を参考に、効果的な動画広告を作成してください。