前回の記事で、アプリエンゲージメントユーザー獲得と同じかそれ以上に重要であることを解説しました。では、具体的にどのような指標を見てユーザーエンゲージメントを測定していけばよいのでしょうか。

忘れてはならないのは、最も重視すべき指標はビジネスゴールによって異なるということです。そのため、最初に行うべきは、アプリの重要イベントを見極めることです。重要イベントとは、ユーザーに行ってもらいたい、最終的な収益に極めて大きな影響をもたらす行動のことです。具体的には、購入、来店、一定数の記事の読了、アプリ内購入といった、アプリの成功にとって最も重要な行動が重要イベントです。

非常に具体的で明瞭なイベントを1つ明らかにするのがいいでしょう。そうすることで、その1つの目標を最大限に達成することにすべての労力を注ぎ込めるようになります。例えば、瞑想アプリのCalmならば、ユーザーアプリを使って瞑想コースを終了することが重要イベントです。一方、オンデマンドの食品配達アプリのInstacartならば、配達の予約が重要イベントになります。

重要イベントは複数に渡ることもあります。例えばUberなら、乗客と運転手の双方について、重要イベントを考える必要があります。とはいえほとんどのアプリは、特に最初は、重要イベントをひとつに絞り込み、ほかのどの取り組みにおいてもそれを基準とすることをおすすめします。新機能の追加であれ、ブランディングであれ、ユーザー獲得戦略であれ、すべてがユーザーに重要イベントの実施を促すような形で構築されるようにするべきです。

利用状況の重要指標

アクティブユーザー数

重要イベントの計測に加えて、把握しておくべき指標の典型的なものとして、ユーザーアプリをアクティブに利用している頻度があります。この「アクティブ」の意味は、アプリによって異なるので要注意です。

例えば、ソーシャルメディアアプリはほとんどが、日単位の重要イベントを中心に作られていて、日次アクティブユーザー数が重視されています。対象的に、Airbnbのような宿泊予約アプリだと、重要イベントは、コアユーザーでも1か月に1回程度かもしれません。その場合、週間アクティブユーザー数や月間アクティブユーザー数に注目することのほうが多くなるでしょう。

どの単位でアクティブユーザーを定義するのかはアプリによって異なりますが、よく使われるのは以下の3つです。

DAU: 1日に何人のユーザーがアプリをアクティブに利用しているか
WAU: 1週間に何人のユーザーがアプリをアクティブに利用しているか
MAU: 1か月間に何人のユーザーがアプリをアクティブに利用しているか

さらにこれらの組み合わせで、よく用いられる指標は、MAUやWAUに対するDAUの比率です。残念ながら、最適なDAU/MAU比率をひとつに定義することはできません。ごく一般的には、DAU/MAU比率が20%を超えれば成功だと考えられていますが、最適な比率はカテゴリーやアプリによって大きく変わる可能性があります。

セッション時間

また、セッション時間もユーザーエンゲージメントの重要な指標です。今日の目まぐるしいデジタル状況にあっては、ユーザーの時間を1分でも獲得できれば、それは祝うべきことでしょう。

ただしセッション時間を見る際には注意が必要です。ゲームアプリやNetflixのような動画ストリーミングアプリの場合、セッション時間(ユーザーアプリをアクティブに利用した時間)が長くなるのは素晴らしいことです。Netflixのアプリに、エピソードが終了すると次のエピソードが自動的に再生される機能が搭載されているのはそのためです。このおかげで、セッション時間が長くなります。一方、買い物アプリや配達アプリの場合、アプリにアクセスして買い物をしてアプリを終了するまでは、できるだけ速く進むのが望ましいでしょう。Domino’s Pizzaでピザを注文するのに時間がかかっているとすれば、それは注文処理が複雑であるしるしであり、売上の低下を招く恐れがあります。Netflixと違い、Domino’s Pizzaの場合、セッション時間は短いほうがいいのです。

さらに、もう一つ非常に重要なエンゲージメント指標として「リテンション」という指標がありますが、これについては次回の記事で個別に取り上げます。

まとめ

今回は、アプリの利用状況を測る指標について説明しました。

まずは自社アプリの最重要指標がどれになるのかを見極め、それから利用状況の重要指標を意識していくと良いでしょう。