前回の記事では、アプリ自体を最適化することによるエンゲージメント強化の方法を見てきました。今回の記事では、ユーザーへのコミュニケーションを通じたエンゲージメントのポイントについて説明します。

複数チャネルでのメッセージ施策

ユーザーエンゲージメントの改善とリテンションの向上に利用できるチャネルは複数存在します。ここでは、それぞれのチャネルの特徴を具体的に見ていきましょう。

1.アプリ内メッセージ

ユーザーエンゲージメントを深める最も効果的なタイミングは、彼らがアプリ内にいる時です。複数の調査から、アプリ内メッセージはプッシュ通知の約8倍も効果的であることが明らかになっています。

エンゲージメントの改善にアプリ内メッセージを使う場合、以下のような点を考慮しましょう。

アプリ内メッセージの一般的な活用シーンを逃さない

アプリ内メッセージの使用が特に有効なのは、オンボーディングプロセス、機能アップデート、顧客サービスの告知、スペシャルプロモーション(ポイントキャンペーン、年末セール、その他)などの通知です。

文脈を考慮する

このタイミングでユーザーに声をかける理由は何ですか?最も効果的なのは、ユーザーの過去と現在の状況を把握しているメッセージです。例えば小売アプリなら、ユーザーが前に購入した商品を「再び購入する」際の割引を提供できるでしょう。旅行アプリなら、特定の都市へのフライトを予約したユーザーにホテルの割引を提供できるでしょう。

適切なメッセージの種類を選択する

アプリ内メッセージで最も一般的なタイプは、モバイルデバイスの画面上部に表示するバナーか、全画面表示のインタースティシャルです。どのタイプが最も有効かを判断するには、テストが必要になるかもしれません。ユーザーに望むタスクを実行してもらいやすくするため、行動喚起用のボタンも忘れずに設置しましょう。

2.プッシュ通知

プッシュ通知は、ユーザーのモバイルデバイスの画面上部に表示されるメッセージで、アプリを起動していない時にも表示されます。よく工夫されたプッシュ通知は、アプリへの関心を維持し、行動を促す非常に効果的な方法になりえます。

一方でプッシュ通知は、必ずしもアプリユーザーの大多数にリーチするものではありません。オンボーディングプロセスの段階で、プッシュ通知の許可を促しておくと、リーチするユーザーの数を増やすのに役立つでしょう。

プッシュ通知には2種類あります。1つはタイミングに基づくもので、もう1つはユーザーの行動やトリガーに基づくものです。以下にそれらを利用する際の考慮ポイントを示します。

プッシュ通知のタイミングは、ユーザーの反応が得られやすい時を狙う

例えば、ユーザーが朝の通勤時に記事をよく読んでいるなら、プッシュ通知は、その時間にユーザーに新しい情報を知らせるものにすべきでしょう。

特定の出来事に対して通知を送る

最も一般的なトリガーは、ユーザーアプリのショッピングカートに商品を入れたのに、購入を確定していない場合です。通知を送って、商品がカートに入ったままだということを知らせましょう。特別割引やセールがまもなく終わる場合は、そのことも併せて通知します。

通知をパーソナライズする

アプリをアンインストールしてはいないものの、エンゲージメントが低下したユーザーには、アプリに戻る行動に価値を持たせましょう。パーソナライズされたプッシュ通知を送り、利用再開のインセンティブを提示するのです。割引、クーポン、独占コンテンツはいずれも、ユーザーアプリに戻る気にさせるのに役立ちます。

リッチな通知を試す

例えば、ユーザーの位置を認識したうえでの通知(「マッチング候補がすぐ近くにいます!」など)、アニメーションを使ったメッセージ、全画面表示のインタースティシャルなどです。ただし、従来的な通知方法ではないので、慎重に使いましょう。

3.メール

メールもまたユーザーにリーチする非常に効果的な方法になりえます。アプリをアンインストールしたユーザーや、長期間利用していないユーザーも、メールでアプリに呼び戻すことができるかもしれません。

特に有効なのは、メールの使用率とクリックスルー率が高い、年齢の比較的高いユーザーです。

メール送信は以下のような目的に有効です。

・特別割引、クーポン、パーソナライズされたリワードを提供する
・主要なアップデートを知らせる
・アプリ内アクティビティ(ダイレクトメッセージの受信など)をユーザーに通知する
・ライフサイクルに沿ったメール送信戦略を構築し、質問への回答、ケーススタディの紹介、行動の喚起を実施する

ただし、メールの本数や頻度が過ぎると、ユーザー離れを招いてしまうことを忘れてはいけません。送信しすぎるとユーザーはメールを無視するようになるでしょう。そうならないレベルを見極めるため、どの程度の頻度でメールをユーザーに送信すべきか実験する必要があります。

4.ソーシャルメディア

ソーシャルメディア上で自社アプリユーザーと豊かな関係を築くことは、ロイヤルティやエンゲージメントの高いファンを増やす効果的な方法になりえます。ソーシャルメディアは、既存ユーザーや潜在的な新規ユーザーに直接コンタクトする理想的な機会を提供してくれますが、闇雲に投稿を続けるだけでは効果を得ることは難しいでしょう。

利用する前に、まず戦略を用意しましょう。

アプリの魅力を宣伝しつつ味方も増やす

自社アプリの最新情報を広く伝えるとともに、ソーシャル空間にいる他社アプリをフォローし推奨しましょう(パートナーになることもあり得ます)。

ブランドの包括的なソーシャル戦略に従う

自社アプリがすでにソーシャルで発信しているブランドの一部なら、親ブランドが築いているより大きなソーシャル世界に、アプリの存在をうまく組み込むことが可能です。既存ブランドのやり方を踏襲する一方で、アプリ独自の話題やコンテンツを目立たせるようにします。

インフルエンサーを起用する

理想的なユーザーとつながりを持つインフルエンサーを見つけ、アプリをより幅広いオーディエンスに勧めてもらいましょう。

ソーシャルメディアのチャネルごとにユーザー属性を追跡・分析する

例えば、Facebook 経由のユーザーTwitter経由のユーザーよりエンゲージメントが高いことがわかったら、メディア支出を最も効果的なチャネルに集中させるよう調整できます。

すべてのチャネルで情報を統一する

エンゲージメントを改善するには、すべてのチャネルでできる限りメッセージを一致させることが大切です。ユーザーが、メール、ソーシャル、アプリ内メッセージ、プッシュ通知で一貫したストーリーを受け取っていると、アプリを訪れてエンゲージする可能性が高くなります。

複数チャネルの利用は裏側で必要な調整が増えますが、非常に大きな効果につながる可能性があります。それぞれのチャネルの特性を理解した上で、メッセージの一致を意識してみましょう。