新規ユーザーの多くは、ダウンロードしたアプリを継続利用せずに放置します。ただし、このような事態を防ぎ、アプリを継続的に利用してもらうための施策は複数あります。

施策を大きく2つに分けるとすると、1つ目は新機能を追加したり、ユーザーアプリの使い方を案内するプロセスを見直したりといったアプリ内部の最適化です。2つ目は、メール、ソーシャルメディア、プッシュ通知など、アプリの外に向けたコミュニケーション施策になります。

この記事では、前者のアプリ内部の最適化に注目して重要な視点をいくつか紹介します。

ユーザージャーニーを考える

アプリを新たにダウンロードしたユーザーは、自分の期待していた目標をどれくらい簡単に達成できるでしょうか。アプリ開発者とマーケターの目標は、A地点(ユーザーアプリと初めて出会う地点)からB地点やC地点(ユーザーが、収益を生み出す長期ユーザーに変わる地点)までのユーザージャーニーを設計し、離脱しやすいポイントをできるだけ減らすことにあります。

アプリユーザー体験は、オンボーディングから始まります。オンボーディングは、最初のいくつかの画面で、新しいユーザーに自社アプリとその価値を知ってもらう段階です。このプロセスを、できるだけ円滑でシームレスなものにし、ユーザーが短時間で価値を感じられるようにする必要があります。例えば、Facebookでは、他のユーザーを10人以上フォローした新規ユーザーは、アプリを使い続ける可能性が非常に高いことを発見しました。そのため、オンボーディングプロセスにいる新規ユーザーが、彼らの既存の知り合いとすぐにつながれるようにするための施策に注力しました。

大抵の場合、初期のユーザーフローにおける問題点は、ベータローンチやソフトローンチの段階で明らかになります。初期ユーザーフローは、その後のエンゲージメント率に大きな影響を及ぼす可能性があります。したがって、ベータローンチやソフトローンチを通して、初めてのアプリ体験を最適化することが極めて重要です。

最初のアプリ体験後も、ユーザーアプリの画面や機能を、迷うことなく直観的かつスムーズに操作できているか?ユーザージャーニーのあらゆる段階で、ユーザーが疑問に思っている点や迷っている点に対処できているか?といった点を継続的に見ていく必要があります。

アプリの「エンゲージメントの文脈」を知る

PCとは違い、モバイルではユーザーがさまざまな環境でアプリを利用します。そのため、同じアプリでも各ユーザーがそれぞれ異なる結果を手にする可能性があります。全体的なユーザー体験を完全に把握するには、複数の考えられるシナリオを最初から最後まで実践することが欠かせません。ユーザーが自社アプリから情報を得ているのは、店舗で商品を探しているときでしょうか?それとも、自動車の後部座席に座って、退屈しているときでしょうか?環境の違いは、ユーザーエンゲージメントにどのような影響を与えているでしょうか?

アプリエンゲージメントで考えられるすべての文脈を想定したシナリオを検討することで、エンゲージメントを促進する新たな要素が見つかる可能性が高くなります。小売アプリなら、ユーザーが店舗を訪れたときに、すぐにクーポンを提供するといったことが考えられるでしょう。サブスクリプション制の動画ストリーミングアプリなら、多くのユーザーが番組を探し始める時間帯に合わせて、新番組のアラートを送信することなどができます。

マッチングアプリのTinderは、2016年の大晦日にエンゲージメントが急増したのを受け、いつもより相手が見つかる可能性が高いことを知らせるメッセージをプッシュ通知で送信しました。その結果、Tinderは1日あたりのエンゲージメント率で自社の最高記録を更新しました。

このようにアプリ内でよく行う行動、物理的な環境、モチベーション、世の中で起こっているイベントなどの文脈を把握することが、より魅力的なアプリ体験の構築に役立ちます。

ユーザーのフィードバックとアプリのレビューを活用する

ユーザーアプリを利用するようになると、アプリストアの評価やレビュー、あるいは顧客サポート窓口を通じて、自分の考えを率直に伝えるユーザーが現れるようになります。ユーザーからのフィードバックは、肯定的なものばかりではなく、読むのがつらいものもあるでしょう。

しかし、ユーザーレビューは、アプリのうまくいっている点とうまくいっていない点を直接知れる、とても貴重な情報源です。具体的にレビューは以下のようにして活用できます。

レビューを調べ、顧客体験の改善に役立つインサイトを獲得する

ユーザーから提案があれば、ぜひ検討してください。その提案が実行する予定のないアイデアであったとしても、どのような返答ができるかを考えましょう。

気づいていない可能性のあるバグやパフォーマンスの問題を見つける

QAプロセスで対象にしていなかった一部のデバイスや地域で起こっている未確認の問題を発見するため、レビューの確認はきわめて有効です。

ユーザーとのつながりを強化する

ユーザーの問題に耳を傾け、対応してください。ユーザーの提案に直接返答することは、さらにロイヤルティの高いユーザー基盤の構築に役立ちます。ユーザーがつながりを感じたり、自分が評価されたと感じたりするようになるからです。

アプリストア最適化(ASO)に役立つ、質の高いキーワードを見つける

以前の記事で説明したように、ユーザーのレビューには、アプリの検索順位を高めて、質の高いユーザーを呼び込むのに役立つ強力なキーワードが数多く含まれています。

まとめ

この記事では、アプリの内部を改善してエンゲージメントを強化する上での重要な視点をいくつか紹介しました。

次の講座では、アプリの外部に向けた施策を扱います。