ECサイト経由の売上が思うように上がらない場合、原因を分析した上で適切な施策に取り組む必要があります。成果を高めるための改善点は、ECサイトに関するいくつかの指標をチェックすることで発見が可能です。

この記事では、ECサイトの売上が上がらない主な原因や売上を伸ばす5つの施策、ECサイトの売上向上に重要な4つの指標、ECサイトの施策を行う際のポイントについて解説します。EC担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. ECサイトの売上が上がらない主な原因
  2. ECサイトの売上を伸ばす5つの施策
  3. CVRを高めるための施策
  4. アクセスを増やすための施策
  5. ECサイトの売上を伸ばすための4つの重要指標
  6. ECサイトの施策を行う際のポイント
  7. 指標をチェックしてECサイトの売上を伸ばそう!

ECサイトの売上が上がらない主な原因

ECサイトの売上は、以下の計算式によって算出されます。

売上=購入率(CVR)×訪問数(アクセス数)×客単価

計算式からもわかるように、ECサイトの売上が上がらない原因は、大きく2つに分けられます。

  • ECサイト訪問者はいるが、商品やサービスの購入(コンバージョン)に至らない
  • ECサイトに訪問するアクセス数が少ない

ECサイト運営で思うような成果が得られていない場合、これらのいずれかまたは両方に課題を抱えていると考えられます。各ケースの詳細は次の通りです。

コンバージョンに至らない(CVRが低い)

コンバージョンとは、商品購入や資料請求など、ECサイト訪問者が何らかのアクションを行うことを表します。ECサイトが使いにくかったり、商品の魅力が伝わっていなかったりすると、ECサイトにアクセスがあってもコンバージョンに至りません

例えば、トップページから下層ページへのリンクが分かりにくい場合、使いにくさを感じたユーザーが離脱してしまうリスクがあります。また、商品説明が分かりにくかったり、見込み顧客が知りたい情報が書かれていなかったりすることもコンバージョンを逃す原因です。

また、「支払い方法が分からない」などの疑問が解消できず、離脱するユーザーもいるため、FAQページへの誘導がうまくいかないこともコンバージョンに至らない要因の一つです。

▼FAQの利用を促進する方法はこちら

FAQ(ヘルプページ)利用促進マル秘テクニック!ver2

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アクセス数が少ない

ECサイトのアクセス数がそもそも少ないと、ECサイトの内容を改善しても大きな売上向上につながらない可能性があります。また、以前と比べてECサイトへのアクセス数が減ってしまうことも、売上が上がらない原因の一つです。

ECサイトの売上を伸ばす5つの施策

ECサイトの売上を伸ばすにはCVRとアクセス数の両方を高めることが重要です。ここからは、CVRとアクセス数を増やし、ECサイトの売上を伸ばす施策を5つ紹介します。

CVRを高めるための施策

まずは、CVRを高めるために次の施策を行いましょう。

1.ECサイトのUI / UXの見直し

ECサイトのCVRを高めるには、サイト全体のUI / UXを見直しましょう。UIUXが優れていると、ユーザーにとって見やすく使いやすいサイトになるので、購買率の向上や離脱率の低下などが期待できます。

UI / UXの違いは以下のとおりです。

UI(ユーザーインターフェース)
画像やテキスト、ボタンなど、ユーザーが目にする全てのデザイン
UX(ユーザーエクスペリエンス)
ECサイトを通じた体験そのもの

UIUXを改善するための施策としては、以下のようなものがあります。

  • フォントやスタイルの統一
  • スムーズなサイト回遊のための導線設置
  • サイト内検索機能の設置
  • 商品の並べ替え・絞り込み機能の設置
  • ページ表示スピードの最適化
  • 決済機能の強化(クレカ、PayPay、Amazon Pay、キャリア決済など)

2.購入を後押しするコンテンツ強化

ECサイトのCVRを高めるためには、ユーザーの購入を後押しするようコンテンツを強化することも重要です。商品についての情報が不足していると、ユーザーが購入をためらってしまいますし、商品の魅力が伝わりきらずCVにつながらない可能性があります。

そのため、商品の写真や説明文を増やしたりキャッチコピーで商品の魅力をわかりやすく伝えたりして、より購入につながるようなコンテンツにしましょう。

また、商品の口コミやレビューを投稿・表示できる機能を実装することも、購入の後押しにつながります。

3.Web接客の実施

Web接客とは、システムや担当者がECサイト上で行う接客のことです。チャット形式で担当者が接客することで、ユーザーは質問への回答を短時間で得られます。ユーザーが「目的の商品を見つけることができない」「情報不足で購入を迷っている」と悩んでいる場合、Web接客で即時回答を提供することで、機会損失を防止できます。

また担当者による直接のWeb接客以外にも、以下のような機能をECサイトに実装することで、新規購入の獲得や機会損失の防止につながるでしょう。

  • 初回購入特典や期間限定クーポンなどのポップアップを表示
  • 選んだ商品に対して類似商品などをAIで提案
  • 上位モデルへの買い替え提案(アップセル)
  • 商品をかけ合わせて買わないかの提案(クロスセル)
  • 趣味趣向に合わせた商品を提案(レコメンド)

アクセスを増やすための施策

続いて、ECサイトのアクセスを増やす方法について解説します。

4.SNSでの積極的なアプローチ

SNSでの積極的なアプローチを行うことで、アクセスの増加が期待できます。

ECとの相性がよいSNS媒体としては、Instagramがあります。Instagramでは投稿した写真に「商品タグ」を付けることができ、タグをタップするとInstagram内のショップページに遷移し、そこから自社ECサイトへのアクセスが可能です。投稿した写真の商品に興味を持ったユーザーをECサイトに誘導しやすいため、ECにはInstagramが向いているといえます。

例えば、ECサイトで家具や洋服といった商品を販売している場合は、自社の商品を使ったインテリアやコーディネートの写真などを投稿するのがよいでしょう。扱う商品によっては、ライブ配信で紹介するのも有効です。

SNSを活用してECサイト以外の流入経路を増やし、アクセス数アップを図りましょう。

参考記事:InstagramショッピングでEC集客をする方法は?手順や事例を解説

5.Web広告の出稿

ECサイトのアクセスを増やすには、Web広告を出稿するのも有効です。Web広告には、以下のような種類があります。

広告の種類 特徴
リスティング広告 ユーザーがWeb検索を行った際の検索結果の最上部に表示される。広告のクリック数に応じて費用が発生する。
ディスプレイ広告 Webサイトアプリなどのコンテンツに表示される広告。幅広いユーザーに対して表示できる。
SNS広告 InstagramやFacebook、TwitterといったSNSに表示する広告。タイムラインやアカウント欄などに広告を表示する。
Googleショッピング広告 Google検索のショッピングタブの最上部に商品情報が表示される。特定の商品の画像や価格などを表示できる。

なお、Web広告のフォーマットは「静止画」と「動画」の2つがあるため、自社に合ったものを選びましょう。Web広告の種類や特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:ターゲットに合わせた最適な広告選びを!種類別Web広告の記事19選

ECサイトの売上を伸ばすための4つの重要指標

サイト訪問者の行動は、アクセス解析ツールで把握することが可能です。アクセス解析で得られたデータを指標とすることで、ECサイトを改善し、コンバージョンを増やすためのヒントが得られます。

ECサイトの売上を向上させるために重要な指標は次の通りです。

リピート訪問率

●サイトの魅力度が測れる

リピート訪問率とは、ECサイトに一度訪問したあと、後日再び利用したユーザーがどのくらいいるかを把握するための指標です。同じユーザーが繰り返し訪問しているECサイトは、リピート訪問率が高くなります。

リピート訪問率を確認することで、ユーザーが何度も利用したくなるような魅力的なECサイトが作れているかのチェックが可能です。リピート性の高い商品を販売している場合や、多くの関連商品を取り揃えているECサイトなどでは、リピート訪問率を重視する必要があります。

ECサイトの売上を向上させるためには、商品を繰り返し購入してくれるリピーターの獲得が重要です。リピート訪問率が高まれば、リピート購入による売上の向上が期待できるでしょう。

かご落ち率

●UI / UXの改善余地が見える

かご落ち率とは、ECサイトで商品をカートに入れたユーザーの内、商品を購入せずに離脱したユーザーの割合を示す指標です。かご落ち率は次のような計算式で算出されます。

    かご落ち率(%) = かご落ちした人数 ÷ カートに商品を入れた人数 × 100

例えば、カートに商品を入れたユーザー100人の内、80人がかご落ちしてしまった場合、かご落ち率は80%です。ECサイトの平均的なかご落ち率は、約70%といわれています。

かご落ちが発生する主な原因は次の通りです。

  • 送料や手数料が高く購買意欲がそがれてしまった
  • 希望する決済手段が使えなかった
  • 決済のためにアカウント登録が必要だった
  • フォームの入力項目が多すぎた

ECサイトの売上を向上させるためには、かご落ち率を改善する必要があります。送料や手数料などの追加費用の見直しや、フォームの自動入力機能による使いやすさの改善などを行い、かご落ちを減らしましょう。

ページビュー/セッション

●回遊のスムーズな導線設置ができているかを測れる

ページビュー/セッションとは、ユーザーが1回の訪問でECサイト内をどれだけ回遊したかを表す指標です。ページビュー/セッションは次の計算式で算出されます。

  ページビュー/セッション = ページの閲覧数 ÷ サイト訪問回数

例えば、ECサイトが10回訪問され、30ページが閲覧された場合のページビュー/セッションは3.0です。

ページビュー/セッションの目安は、ポータルサイトの場合で約4.15、ビジネス産業サイトの場合は約2.63となっています。1度の訪問で多くのページが見られているECサイトほど、ページビュー/セッションの数値が大きくなることが一般的です。

ただし、ECサイトの構造や操作方法が分かりにくい場合、ユーザーが迷子になりページビュー/セッションが大きくなるケースがあります。そのため、単純な値の大小だけではECサイトを評価することはできません。

多くのアクセス解析ツールでは、ユーザーがどのような順番でECサイト内を回遊したかの確認が可能です。同じページ間を繰り返し行ったり来たりしている場合は、ユーザーが迷子になっている可能性があります。

ユーザーがサイト内を回遊した経路も踏まえて、ページビュー/セッションの数値をECサイトの改善に役立てましょう。

直帰率

●ECサイトが分かりにくさを知れる

直帰率とは、全てのセッション数に対して、直帰したセッションの割合を示す指標です。直帰とは、ECサイトの訪問者が1ページ目しか閲覧せずに離脱することを表します。直帰率の計算式は次の通りです。

    直帰率(%) = 直帰されたセッション数 ÷ 全てのセッション数 × 100

ECサイトにおける直帰率の目安は20%~40%程度です。
商品紹介ページや料金に関するページなどが見られていない時は、ECサイトが分かりにくくないかを確認し、直帰率を改善しましょう。

ECサイトの施策を行う際のポイント

ECサイトで売上を向上させるための施策は、やみくもに行うのではなく、いくつかのポイントに注意して取り組む必要があります。特に重要なポイントは次の3つです。

施策の優先順位を決める

ECサイトの売上を向上させる施策には様々な手法があるものの、優先順位の高いものから順番に行っていくことが大切です。

例えば、ECサイトのコンバージョン率が低い状態で、アクセスを増やすための施策に取り組んでも大きな成果は得られません。

広告費をかけてアクセスを集めてもコンバージョンにつながらず、費用対効果が悪くなってしまいます。このような場合は、アクセス数の増加よりもコンバージョン率の改善の方が優先度の高い施策です。

また、ECサイトの内容を改善する時は、アクセス数が特に多いページから優先的に取り組むことで、より良い成果が期待できます。多くのアクセスを獲得しているページから商品紹介ページへの導線を強化したり、よく見られている商品ページの内容を見直したりする施策を優先しましょう。

ABテストを繰り返す

ABテストとは、デザインやキャッチコピーなどを変えた2パターン以上の施策を実行し、より成果の高かった方を採用する手法です。ECサイトにおける様々な指標は、ABテストを繰り返すことで改善できます。

例えば、直帰率の高いページを改善する場合、ページ上部のキャッチコピーリンクバナー画像などがABテストで変更する箇所の対象として挙げられるでしょう。キャッチコピーで訴求する内容やバナーのデザインなどが異なるサイトを作成してABテストを行い、各パターンの直帰率を比較することで、直帰率の改善に役立てられます。

感覚や好みではなく、数値化できる客観的な指標をもとに改善を繰り返すことがポイントです。

複数の指標をチェックする

ECサイトの売上向上に取り組む時に一つの指標だけを参考にしてしまうと、成果につながらない可能性があります。

例えば、ページビュー/セッションの指標だけを見ながらECサイトの回遊性を高めたとしても、最終的にコンバージョンに至っていなければ売上は向上しません。この場合、かご落ち率などの指標も同時にチェックしながら、商品購入に至るユーザーを増やしていくことが重要です。

複数の指標を確認することでECサイトの課題を明らかにし、適切な施策に取り組みましょう。

指標をチェックしてECサイトの売上を伸ばそう!

ECサイト経由の売上を向上させるためには、より多くのサイト訪問者を集め、高確率でコンバージョンにつなげることが大切です。そのためには、自社のターゲットユーザーが求めている情報を提供し、商品の魅力を分かりやすく伝える必要があります。

ECサイトを改善する際は、かご落ち率や直帰率などを始めとする4つの指標をもとに、今回紹介したような施策を行いましょう。