ECサイトの構築を考えているものの、「基礎的な知識が不足している」「何から手を付ければ良いのか分からない」という人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ECマーケティングを始める方に向けてECサイトの基礎知識市場規模作り方費用の目安成功事例などを紹介します。

この記事で分かること

・ECサイトの市場規模や成功事例
・ECサイトに必要な機能や作り方、かかる費用
・ECサイトで設定すべき6つのKPIや施策例

目次

  1. ECサイトとは
  2. ECの市場規模
  3. ECサイトに必要な機能
  4. ECサイトの作り方
  5. ECサイト構築・運用の費用
  6. ECサイトで設定すべき6つのKPI
  7. ECサイトで集客・売上・リピート率アップを実現する施策
  8. ECサイトの成功事例
  9. 最適なECサイトを構築して売上アップを実現しよう

ECサイトとは

ECサイトとは、インターネット上で商品・サービスを販売するサイトのことです。ECはElectronic Commerce(エレクトリックコマース)の略であり、「電子商取引」と訳されます。

ECサイトの種類

ECサイトは、大きく「モール型ECサイト」と「自社ECサイト」の2つに分けられます。

モール型サイトと自社型ECサイトの例.png

モール型ECサイトは、複数のブランドや店舗がECプラットフォームに集まって出店するタイプです。Amazonや楽天などがこれに該当します。

人気のモールなら多くの集客が見込める上に、立ち上げの手間がかからないのがメリットです。ただし利用できる機能やサイトデザインには制限があり、開設手数料や販売手数料などがかかります。

一方で自社ECサイトは、自社のECサイトを独自に構築するタイプです。構築の手間はかかるものの、デザインや機能のカスタマイズ性が高いため、ブランドイメージを強化したり、顧客体験を最適化したりできます。

ECの市場規模

ECの市場規模は年々拡大しています。BtoCBtoBそれぞれの市場規模は以下の通りです。

BtoC】-ECの市場規模
BtoC-ECの市場規模推移.png
出典:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査(2023年8月)」

2022年のBtoC ECの市場規模は、22兆7,449億円(前年比で9.91%増加)に拡大しています。3つの分野のうち、特にサービス分野が大きく増加傾向にあります。

BtoB】-ECの市場規模
BtoB-ECの市場規模推移.png
出典:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査(2023年8月)」

BtoB-ECの市場規模は、420兆2,354億円(前年比で12.8%増加)に拡大しています。BtoCBtoBともに成長が続いているため、今後も拡大が続くと考えられるでしょう。

ECサイトに必要な機能

ECサイトを運用する上では、様々な機能が必要になります。そして、機能の種類は売上を作るための「フロントエンド機能」と、サイトを運営するための「バックエンド機能」の2つに分けられます。

種別 機能例
フロント機能 ・新規顧客機能
CRM
・販促機能
・分析機能
バックエンド機能 ・受注管理
・顧客管理
・商品管理
・配送サービス
・決済サービス

これらの機能は「カートシステム」に搭載されており、多くの企業はこのシステムを利用し、ECサイトを運営しています。

▼ECサービス選定の心得はこちら

ECサービス選定の心得

ECサービス選定の心得

スタートで差がつく!100超のECプロジェクト経験から導くECサービス選定の心得について解説致します。

ECサイトの作り方

自社ECサイトを作る方法は、主に以下の4つです。

  • ASP
  • ECクラウドサービス
  • ECオープンソース
  • ECパッケージ

それぞれのメリット・デメリットや特徴を詳しく説明します。

ASP

ASPアプリケーションサービスプロバイダ)とは、ECサイトに必要な機能を提供するサービスのことです。

短期間での導入が可能であり、システムの構築・アップデートはベンダー側が行うため、開発コストを最小限に抑えられます。ただし、デザインや機能のカスタマイズに制限があるため、柔軟性が少ないというデメリットがあります。

ECサイトASPの例.png

ECクラウドサービス

ECクラウドサービスとは、クラウド上のプラットフォームを利用してECサイトを構築するサービスのことです。

ASPに比べて搭載されている機能が多くカスタマイズ性も高いのがメリットです。また、比較的短期間で導入できます。

しかし、多くのECクラウドサービスはソースコードを開示していないため、自社で保守管理を行いたい場合には向いていません

ECクラウドの例.png

ECオープンソース

ECオープンソースは、公開されているコードを利用してECサイトを構築する方法です。コードは無償で公開されていることが多いため、低コストで利用できます

カスタマイズの自由度が高いため、ブランド独自の世界観をサイトに反映することが可能です。ただし、オープンソースはコードが公開されていることから脆弱性が見つかることもあり、セキュリティリスクが高い傾向にあります。

そのため、利用する場合はWeb制作やセキュリティに関する知識を持った人材が必要です。

ECオープンソースの例.png

ECパッケージ

ECパッケージとは、ECサイトに必要な機能があらかじめ搭載されているシステムのことです。

必要な機能が揃っているだけでなく、運用アドバイス・運用代行といったサポートも充実しているため、「ECサイトの構築・運用に不安がある」「中〜大規模のECサイトを構築したい」という場合に向いているでしょう。

ただし、初期費用・運用保守費用は高額になる傾向にあります。

ここまで4つの作り方を紹介しましたが、より詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。各方法における代表的なサービスや適した事業規模の目安、特徴をまとめた比較表などを記載しています。

ECパッケージの例.png

関連記事:
【目的別】ECサイトの作り方|構築ツールの種類・手順・費用も紹介
ECサイト構築の失敗例9選!機能面やコストなど注意点をカテゴリ別に紹介

ECサイト構築・運用の費用

ECサイト構築・運用の費用.jpg

ASPやECクラウドサービスを利用する場合は、初期費用が抑えられるものの販売手数料や決済手数料が発生するため、毎月の売上高や購買回数を考慮してツールを選定しましょう。

また、自社でECサイトを構築する際は以下のようなランニングコストもかかります。

項目 費用目安
ドメイン 500〜6,000円/年
サーバー維持費 500〜10,000円/年
独自SSLサーバ証明書 10,000〜90,000円/年
決済手数料 売上の3〜5%
カートシステム利用料 36,000〜1,200,000円/年
配送料金 1回あたり 300〜2,000円
コンテンツ制作・更新 1人あたり 300,000円/月
EC運用代行(外部委託) 600,000~3,600,000円/年

ランニングコストは、ECサイトの構築方法や売上、運営方法によって変わってきます。各費用の詳細については、以下の記事で解説しています。

関連記事:ECサイトの費用相場|構築方法・サービス別の料金比較

ECサイトで設定すべき6つのKPI

ECサイト運営を成功に導くには、適切なKPIを設定することが重要です。KPIを設定することで成果を定量的に評価するとともに、問題となっている箇所を把握・改善できるようになります。

ECサイト運営では、主に以下の6つをKPIとして設定します。

  • 訪問者数
  • リピート率
  • 購入割合(CVR
  • 顧客単価
  • 顧客生涯価値(LTV
  • 顧客獲得費用(CAC)

それぞれの意味や数値の目安、設定する方法を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。各KPIを改善するための施策例も紹介しています。

関連記事:ECサイトで設定すべき6つのKPIとは?設定方法や改善策も解説

ECサイトで集客・売上・リピート率アップを実現する施策

ECサイトで集客・売上・リピート率アップを実現する施策について、以下3つの観点から解説します。

  • 集客
  • 売上アップ
  • リピート率アップ

集客

ECサイトへの集客を強化するためには、以下の施策が有効です。

広告の出稿キーワードの見直し
⇒ターゲットニーズを十分にリサーチした上で自社の強みも加味し、ユーザーが検索するキーワードを設定

広告クリエイティブのABテスト
⇒複数パターンの広告クリエイティブ(テキスト、画像、動画など)を用意して、より反響が得られた広告を量産する

LP(ランディングページ)の最適化
広告から訪問した顧客がLPから離脱しないように、コンテンツを充実させ、適切な場所にCTAを設置する。

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売上アップ

ECサイトの売上を上げるには、以下3つの施策が有効です。

サイト内検索機能の改善
⇒ユーザーが求める商品・情報に素早くたどり着けるよう改善する

レコメンド機能の実装
⇒「この商品に関心を持った人は、こんな商品も見ています」といった関連性の高いおすすめ商品を提案する機能を実装する

カゴ落ち対策(EFO)
⇒シンプルで入力しやすいフォームに改良し、決済する手前での離脱を防ぐ

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リピート率アップ

ECサイトのリピート率を高めることは、売上アップに直結します。リピーター率を向上させる主な施策は以下の3つです。

クーポン・ポイントの提供
⇒割引クーポンや次回の買い物で使えるポイントを提供して、再購入を促す

リターゲティング広告
⇒過去にユーザーがECサイトで閲覧した商品の広告を、別サイトで表示させる「リターゲティング広告」を出稿する

メルマガ配信
キャンペーン情報や商品を購入した後の活用法、ブランドストーリーなどを紹介し接点を増やし、リピート利用につなげる

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ECサイトの成功事例

最後にECサイトの成功事例を2つ、紹介します。

ECの売上高は921億円:ニトリ

ニトリの2023年3月期のEC売上高は921億円(前期比28.3%増)、EC化率は11.2%でした。ニトリは、店舗とECを融合したOMO施策を推進し、従来の販売チャネルを超えた、新しい購入体験を提供しています。
※OMO=Online Merges with Offline

ECサイトやアプリから店舗の在庫状況を確認でき、店舗には商品の組み合わせバリエーションをチェックできるECサイトに誘導するポップが設置されています。また、ライブ配信を見ながら商品をその場で購入できる「ニトリLIVE」をECサイト内に設置し、購買促進につなげています。

参考:ネットショップ担当者フォーラム「ニトリの通販・EC売上高は28.3%増の921億円、EC化率は11.2%【2023年3月期】」

食品ECの売上が5年で10倍:ひよこカンパニー

平飼いの養鶏場で採れた卵の通販、複合リゾート施設「大江ノ郷自然牧場」の運営も手掛けるひよこカンパニーは、自社のECサイトの売上高が5年間で10倍に増加しました。

同社は事業拡大を目指してオムニチャネルを開始。新規顧客を獲得するための戦略や、リピーターを増やすためのCRM施策、ファンを増やすためのコンテンツマーケティングを実施した結果、オムニチャネル開始後2年でEC会員が5倍以上増加しました。

参考:E-Commerce Magazine「食品ECの売上が5年で10倍!鳥取のリゾート「大江ノ郷」がオムニチャネルを実現した方法と成果」

最適なECサイトを構築して売上アップを実現しよう

ECサイトの構築方法には複数の選択肢があり、以下の4つに分けられます。

  • ASP
  • ECクラウドサービス
  • ECオープンソース
  • ECパッケージ

また、ECサイトを運営する際は主に以下の6つをKPIとして設定します。

  • 訪問者数
  • リピート率
  • 購入割合(CVR
  • 顧客単価
  • 顧客生涯価値(LTV
  • 顧客獲得費用(CAC)

自社に合う方法でECサイトを構築し、適切に運用していくことで売上アップが期待できます。ユーザー視点を常に忘れず、ECマーケティングを成功させましょう。