突然ですが、あなたは自社の事業における3Cについて明確に答えられますか?

  • Customer:市場・顧客
  • Competitor:競合
  • Company:自社

これらの頭文字をとった3C分析は、ビジネスを行っていくにあたり市場の関係性を理解するためによく使われるフレームワークです。

Webサイトは作って終わりではなく、顧客との関係づくりの媒介となるものです。また、Webサイトは媒体の一つであり、メール一つとっても関係づくりになりえるものです。
インターネットで顧客との関係づくりを進めるWebマーケティングの具体的な進め方について、本記事では解説します。

目次

  1. 3C分析とは
  2. 3C分析の必要性
  3. 3C分析の具体的な分析対象
  4. マーケティング戦略における全体の流れ
  5. 3C分析のやり方
    1. Customer:市場・顧客の分析方法
    2. Competitor:競合
    3. Company:自社
    4. 内外部の同時分析
  6. 3C分析の注意点やポイント
    1. 分析の順番を意識する
    2. 事実をベースに分析する
    3. スピーディーに分析を行う
    4. 複数のフレームワークを組み合わせる
  7. 3C分析の事例
    1. コーヒーチェーン店の例
    2. 清涼飲料水DAKARAの例
  8. まとめ

3C分析とは

3C分析とは、マーケティング環境を分析するためのフレームワークのひとつです。外部環境や競合の状況から事業のKSF(Key Success Factors:成功要因)を導き出し、事業を成功に導くために用いられます。

  • Customer:市場・顧客
  • Competitor:競合
  • Company:自社

上記の3つの視点で分析を行うため、頭文字を取って「3C分析」と呼ばれます。

図_3C分析の例.png

ちなみにこの3Cコンセプトを考案したのは、経営コンサルタントでビジネスブレイクスルー大学学長でもある大前研一さんで、1982年に自著の「The Mind of the strategist(ストラテジックマインド: 変革期の企業戦略論)」によって広く知られるようになりました。

同著書の8章「戦略的三角関係」の中で「およそいかなる経営戦略の立案に当たっても、三者の主たるプレイヤーを考慮に入れなければならない。すなわち、当の企業=自社(Corporation)、顧客(Customer)、競合相手(Competitor)の三者である。」とあります。

そもそもなぜ3C分析がよく使われているのでしょうか。まずはその必要性を確認していきましょう。

3C分析のテンプレート。パワーポイント形式です。

3C分析のテンプレート。パワーポイント形式です。

3C分析の必要性

3C分析を行うと、事業の進行方向が見えてきます。

マーケティングの本質は、いくつも存在する施策の中から最も効率的なやり方に資源を集中投下し、顧客に選ばれ続け売上や目的を達成できる仕組みを作り上げることです。

そのため、

  • Customer:市場・顧客
  • Competitor:競合
  • Company:自社

の3者の関係性を明示化する必要があります。外部要因である市場と競合、そして内部要因である自社を照らし合わせると、何が自社の強みと弱みなのかが分かるようになります。

ちなみに「なぜ3C分析を行うのか」というように、分析前にその目的を明確にすることで、分析を行う範囲が広がりすぎて方向性がぶれるということを防ぐことができます。

3C分析の具体的な分析対象

ここまで3C分析の必要性を説明しましたが、具体的にどのようなことを調べていけばいいのでしょうか?

3C分析の過程として、それぞれのCで具体的に以下のことを明確にする必要があります。

  • Customer:市場や顧客のニーズの変化
  • Competitor:競合が「Customer」の変化にどのような対応しているのか
  • Company:「Customer」「Competitor」を踏まえて自社が成功できる要因を見つける

まず業界の市場規模や動向、顧客のニーズの変化、消費行動・購買行動などを調べることで、現在求められている製品やサービスを立案できますし、どのようにマーケティングを実施すべきか分析結果をもとに計画することができます。

さらに、競合各社の成長率や強み・弱み、競合の業界ポジション、事業の方向性などを見極めたり、自社の現状や強み・弱み、ビジョン、資本力などを明確したりすることで、競合と自社を比較しながら分析を進められます。

マーケティング戦略における全体の流れ

では、マーケティング戦略において3C分析はどのように実施されるのでしょうか?

  • マクロ環境分析
  • ミクロ環境分析
  • 戦略分析
  • KSF設定
  • マーケティング戦略
  • マーケティング施策

3C分析は「ミクロ環境分析」のプロセスに含まれます。マクロ環境分析を実施した後に、より詳細を明らかにするために3C分析や5F分析などのミクロ環境分析を行うのです。

続いて、自社の設定すべきKSFを導くために戦略分析を実施します。KSF、およびKPIを設定して具体的な目標を立てられたら、マーケティング戦略を考えていきます。

その戦略に基づき、具体的なマーケティング施策を考案し、PDCAサイクルを回しながら実践していきます。

ただ、3C分析の過程でもマクロ分析が含まれるので、それぞれのプロセスの境界線がはっきりとしている訳ではありません。

3C分析のやり方

それでは、3C分析はどのように実践すればいいのでしょうか?ここでは、3C分析のやり方を確認しましょう。

Customer:市場・顧客の分析方法

まず初めに、市場・顧客の分析から行います。
市場や顧客の動きを知らないままだと、自社の置かれている立場を正確に把握できないからです。

ここでは、以下の3つの手法を用いることでより効果的に分析を進めることができます。

  • マクロ分析
  • ミクロ分析
  • 顧客分析

●マクロ分析(PEST分析)

マクロ分析は、景気の変動や法律の改正、人口や流行の流動など社会的な変化を見つけ出すために行います。具体的な変化を見つけるためには、PEST分析を行うとよいでしょう。

  • Politics:政治的要因・・・法改正、政権交代、デモなど
  • Economy:経済的要因・・・物価、消費動向、経済成長率、株と為替の動きなど
  • Society:社会的要因・・・人口構成、少子高齢か、世論など
  • Technology:技術的要因・・・インフラ、イノベーション、IT、新技術など

PEST分析は、トレンドを読み解くために行う分析です。社会的な外部要因は、自社の意向だけでどうにかできるものではありません。

だからこそ時代の流行を掴み、タイミングをみながら将来を予測して時代のニーズに合った戦略を打ち出すために必要となります。

テンプレート付き】PEST分析とは?自社を取り巻く外部環境を把握するためのフレームワークを解説

テンプレート付き】PEST分析とは?自社を取り巻く外部環境を把握するためのフレームワークを解説

●ミクロ分析(ファイブフォース分析)

ミクロ分析では、業界の構造変化から自社ビジネスへの影響を検討します。業界の競争環境の厳しさをしっかりと見つめ、利益を確保できる可能性を把握しておく必要があるからです。

ここでは、ファイブフォース(5フォース)分析が有効です。

ファイブフォース(5つの要因)は、自社が属する業界によって変化します。
5つの各要因で分析すべきことは以下の通りですので、自社の業界環境を踏まえて項目を埋めてみてください。

  • 新規参入業者・・・業界に式参入した企業について
  • 代替品の脅威・・・現在の商品やサービスにとって代替の恐れがあるもの
  • 競争関係・・・競合との差
  • 供給企業の交渉力・・・部品供給などの共有企業がどれくらい利益を圧迫しているのかなど
  • 買い手の交渉力・・・買い手の市場の大きさ、書いてのどれほど影響を与えているのかなど
【テンプレート付き】5フォース分析とは?

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●顧客分析

顧客分析では、マクロ分析やミクロ分析で得た情報が、顧客の価値観やニーズにどれくらい影響を与えているのかを検討します。

商品やサービスに関わる一般的な顧客の動向を分析して、彼らの具体的な購買・使用行動を把握するようにしましょう。

ここで有効な手段のひとつとして、アンケート調査があります。
アンケートを作成するときのポイントについては、ferret内の以下の記事にてご紹介していますのでぜひ参考にしてください。

アンケートを作成するなら必読!回答率・正確さを高めるためのポイント4選|ferret

Competitor:競合

続いて、競合分析を行います。ここでは、競合が市場の変化にどのように対応しているのかを知ることが大きな目的となります。

そこで「競合である企業のビジネス結果」「その結果が出た理由」の2つの観点で分析を行うと望ましいです。

●競合である企業のビジネス結果

ビジネス結果では、得に以下の2つに着目します。

  • 結果そのもの
  • 結果を出したリソース

結果そのものでは、競合の売り上げや利益率、広告費などの販売管理費用などを調査しましょう。あまり公表されていない情報が多いため情報収集が難しい場合もありますが、分かる範囲で少しでも多く情報を得ることが望ましいです。

リソースについては、資本がどれくらい効率よく使用されているのかを検討します。社員1人(1店舗)あたりの売り上げや、顧客1人あたりの売り上げなどを調査することで、リソースの利用の背景などを調査しましょう。

●その結果が出た理由

競合がどのようにして結果を出しているのかについて検討します。売り上げやリソースの効率を、どのようにして高めているのかを明確にしましょう。

製品開発、販売ルート、営業方法など、あらゆる側面から検討すると、自社で取り入れるべき仕組みや差別化を図るポイントなどを見つけやすくなります。

Company:自社

ここまで行ってきた市場分析や競合分析をまとめ、自社がどのような手を打つことができるのかを検討します。「市場の変化と競合がその変化に対してどのような対応しているのか?」について、自社と比較するようにしましょう。

その際に活用したいのがVRIO分析です。

● VRIO分析

  • 経済価値(Value)
  • 希少性(Rarity)
  • 模倣困難性(Inimitability)
  • 組織(Organization)

VRIO分析は、自社の経営資源にフォーカスした分析手法です。マイケルポーター氏の提唱する5F分析とは補完し合う関係性にあるため、それぞれの特徴を押さえて分析を行うことが望ましいでしょう。

VRIO分析のフレームワークについては、ferret内の以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

【テンプレート付き】VRIO分析のフレームワークを解説!経営資源の競合優位性を紐解く4要素とは?

【テンプレート付き】VRIO分析のフレームワークを解説!経営資源の競合優位性を紐解く4要素とは?

内外部の同時分析

ここまでは外部(Competitor&Customer)と、内部(Company)をそれぞれ分析してきました。しかし、この両者を鑑みて分析しなければ、3C分析を俯瞰的に捉えることができません。

ここで有効な分析方法として、SWOT分析を活用するという方法があります。
SWOT分析については、以下の4つの観点から評価を行うことが可能です。

  • Strengths:自社のもつ強み
  • Weaknesses:自社のもつ弱み
  • Opportunities:機会
  • Threats:脅威

SWOT分析については、ferret内の以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

【テンプレート付き】SWOT分析とは?さまざまな場面で使える考え方を理解しよう

【テンプレート付き】SWOT分析とは?さまざまな場面で使える考え方を理解しよう

3C分析の注意点やポイント

3C分析を実施する際に注意すべきことがいくつかあります。以下で紹介するポイントを意識することで、より効率的に分析を進められます。

分析の順番を意識する

3C分析は大きく分けて3つの要素を分析していきますが、分析の順番を意識することが大切です。

基本的にはCustomerを分析してからCompetitorとCompanyを分析するようにしましょう。自社について先に分析してしまうと、近視眼的な分析になってしまうためです。

自社の置かれた状況を正確に判断するためには、近視眼的な分析だけでなくマクロ分析を実施しなくてはいけません。先ほど紹介したPEST分析や5F分析などのフレームワークを活用しながら、順番を意識して分析しましょう。

事実をベースに分析する

3C分析を実施する際は、事実をベースに分析することを意識するとよいでしょう。

事実ではなく解釈や意見、予測などをベースにしてしまうと、フレームワークを活用しきれないためです。

分析対象となる情報を集める際は、インターネットだけでなく現場や顧客の声をヒアリングすることをおすすめします。そうすることで机上の分析ではなく、よりリアルな分析を実施できます。

スピーディーに分析を行う

3C分析を実施する際のスピードも重要な役割を担います。顧客のニーズや市場、競合の状況などは変動していくものです。

そのような状況で分析に時間をかけてしまうと、新鮮な情報をもとにした分析結果を得られません。

効果的な分析を実施するためにも、3C分析はスピード感を持って実施することが重要です。

複数のフレームワークを組み合わせる

1つのフレームワークだけでなく、複数のフレームワークを組み合わせましょう。

1つのフレームワークのみで分析してしまうと、得られる分析結果も制限されてしまいます。複数のフレームワークを活用すれば、多角的な分析を実施できるようになります。

本記事で紹介したPEST分析やファイブフォース分析、VRIO分析、SWOT分析などを活用することをおすすめします。

3C分析のテンプレート。パワーポイント形式です。

3C分析のテンプレート。パワーポイント形式です。

3C分析の事例

コーヒーチェーン店の例

以下に実際の3C分析の事例を紹介します。あるコーヒーチェーンというビジネスを考えるときに、3つの視点で考え、情報収集をしてまとめています。

●顧客

顧客層
サラリーマン、主婦・高齢者の友人、学生などコーヒーを飲む人々

顧客のニーズ
美味しいコーヒーが飲みたい。ゆったり滞在したい。居心地の良い空間が欲しい。

●競合

競合はどこか。市場のシェア
店舗数1位はドトールで、2013年2月期現在グループで国内1384店舗、スタバ985店舗、タリーズ501店舗。

競合他社の強み・弱み
「スタバの強み」ブランド力、スタイリッシュな雰囲気、コーヒーの調達能力
「スタバの弱み」値段が高い

競合の特徴
「スタバ」単にコーヒーを飲む場所ではない場作り。コーヒー以外のドリンクの充実、スターバックスWi-Fiの整備。

●自社

自社の強み・弱み
「強み」店員がフルサービス、居心地の良さ、ゆったり出来る喫茶店感覚と、食事が出来るファミレスのいいとこどり
「弱み」地域特化のため全国的な知名度の無さ

どのような評価を受けているか:
営業時間が長く、新聞・本を読めるなど居心地の良さを追求している、椅子の座りやすさ、食事が安くて美味しい

清涼飲料水DAKARAの例

他にも有名な事例として、清涼飲料水のDAKARA(サントリー)の事例があります。

●顧客

顧客層
スポーツを行う人々、体質改善などを目指している人々

顧客のニーズ
スポーツドリンクで水分補給したい。健康改善を目指したい。

●競合

市場のシェア:ポカリスエット(大塚製薬)とアクエリアス(コカ・コーラ)が大半を占めている。

●自社

自社の強み・弱み
「強み」健康の研究開発が盛ん
「弱み」清涼飲料水のシェアで競合に負けている。

清涼飲料水のシェアの大半を占めている競合に打ち勝つために、サントリーは3C分析を実施し、スポーツ以外の目的(体質改善など)で飲まれているケースが多いことを発見しました。

サントリーは、子会社のブランドの1つに科学的な根拠を持って健康的なブランドを作っていく「サントリー健康科学研究所」を持っており、健康の研究開発が盛んであり、それを活かしていく選択をしました。

そこで生まれたのが、スポーツドリンクではなく、飲むことで健康になるという健康飲料という打ち出し方でした。

このように3者を整理しますと、ビジネスを進めるうえで、大切にしなくてはならないこと=コンセプトが見えてきます。それをキャッチフレーズなど、シンプルでわかりやすい言葉に落とし込み、チームで共有することで、全員が同じ方向をむいて顧客との関係づくりを進めることができるのです。

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まとめ

Webマーケティングと聞くと難しいイメージを持たれますが、「顧客とどう関係をつくっていくか」を考えるための戦略と考えると抵抗は少なく感じるはずです。

そして、Webマーケティングにおいて3C分析などビジネスの世界で使われている手法を使うと、効率的に情報を整理でき、進むべき道が見えてきます。そして、具体的には前述のWebマーケティングのツールを、必要なものからマスターしていくことで、顧客とのコミュニケーションができます。

ぜひ、みなさんもインターネットの世界でWebマーケティングを実践してみませんか。顧客との新しい関係がきっと生み出されるはずです。

ここがポイント!

  • ビジネスフレームワークは難しくない。
  • 3C分析とは顧客、自社、競合を調べ、整理すること。
  • ツールを学ぶことからはじめよう。

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